自殺のリスクを慎重に評価するには、以下のようなポイントを確認します。
直接的な質問をする
「最近、死にたいと思ったことはありますか?」
「具体的にどんなことを考えましたか?」
「どうやって死のうと考えましたか?」
自殺について質問すると、生徒が「刺激される」や「促される」という誤解がありますが、実際には率直に聞くことで生徒の苦しさを受け止め、支援につなげやすくなります。
リスク要因の確認
(1) 自殺念慮(死にたい気持ち)の有無
- 「もう生きていたくない」「消えてしまいたい」と思うことがあるか
- どのくらいの頻度で考えるか(時々 or 常に)
- 具体的な計画(方法・場所・時期)があるか
(2) 過去の自傷・自殺未遂歴
- これまでに自殺未遂をしたことがあるか
- そのときの状況と、今との違い
(3) 精神的な状態
- うつ症状(無気力・興味喪失・睡眠障害など)が強くないか
- 強い絶望感や自己否定感があるか
(4) 支援の有無
- 話せる相手(友人・家族・教師)がいるか
- 家庭環境が安定しているか
- 相談できる大人がいるか
「危険度」に応じた対応
◎ 高リスク(緊急対応が必要)
- 具体的な自殺計画がある(例:「明日、〇〇で死ぬつもり」)
- これまでに自殺未遂歴があり、再発の可能性が高い
- 強い絶望感があり、支援を拒否する
→ すぐに管理職・養護教諭・保護者と連携し、専門機関(精神科・救急・児童相談所など)につなぐ。生徒を一人にしない。
○ 中リスク(早急な対応が必要)
- 「死にたい」と頻繁に考えるが、具体的な計画はない
- 自傷行為を繰り返しているが、命を絶つ意図はない
- 支援を求めているが、強いストレスにさらされている
→ 定期的な面談を設定し、状況を見守る。養護教諭・保護者とも情報共有し、必要なら専門機関へ。
△ 低リスク(経過観察)
- 一時的に「消えたい」と思ったが、具体的な行動の予定はない
- 相談できる人がいて、状況が落ち着いている
- ストレス要因が明確で、対処方法がある
→ 安心できる環境を整えつつ、定期的に話を聞く。ストレス対処法を提案する。
重要なポイント
- 話を聞くときは、決して否定しない。
- 「そんなこと言わないで」「気のせいだよ」ではなく、
- 「つらかったね」「よく話してくれたね」と受け止める。
- 一人で抱え込まない。
- 管理職・養護教諭・専門機関と協力し、適切な支援を考える。
- 継続的に関わる。
※リスクは時間とともに変化するため、定期的なフォローが大切。
スクールカウンセラーは「生徒の命を守ること」が最優先です。少しでもリスクを感じたら、すぐに対応できる体制を整えておくことが大切です。