教員向け研修資料

1.見立てとは?

見立てとは、生徒の行動や言動の背景にある心理や環境要因を多角的に理解し、支援の方向性を考える作業です。

見立ては「診断」ではなく、「理解すること」。

2.見立ての基本ステップ

ステップ内容具体例
① 情報収集行動観察、保護者・教員からの情報授業中の様子、家庭状況、本人の語り
② アセスメント背景要因の仮説立て発達、性格、環境、対人関係の視点から
③ 見立て「今、何が起きているか」の理解不安の強さ→自己評価の低さなど
④ 支援方針支援目標・方法を明確にする安心感の確保、進路不安への対応など



3.よくある高校生の様子と見立ての例

【ケース1】進路への不安と逃避(高2女子)

  • 観察:模試の結果に強く落ち込む、体調不良を訴えて欠席
  • 見立て:自己評価の低さ+失敗への強い不安
  • 支援例:安心して相談できる関係づくり、目標の再構築支援

【ケース2】対人トラブルと反抗的態度(高1男子)

  • 観察:教師への反発、暴言、周囲とトラブル多い
  • 見立て:自尊感情の低下+自己表現の困難さ
  • 支援例:SCとの関係構築を通じた感情整理、対人スキルトレーニング

【ケース3】過剰なプレッシャーによる不安定さ(高3女子)

  • 観察:授業中に涙、自己否定発言が多い
  • 見立て:親からの過度な期待+自己肯定感の低さ
  • 支援例:安心できる大人との関係、目標の再設定支援

【ケース4】長期欠席と昼夜逆転(高1男子)

  • 観察:朝起きられず遅刻や欠席、夜型生活
  • 見立て:生活リズムの乱れ+無気力状態
  • 支援例:保健室登校からの段階的復帰、家庭との連携による支援


【ケース5】孤立と不登校傾向(高2女子)

  • 観察:友人と話さず、登校しぶりが続く
  • 見立て:対人不安+自己開示の難しさ
  • 支援例:少人数のグループ活動、安心できる場での自己表現支援



4.担任とSCの連携のポイント

  • 「気になる生徒」の情報は小さなサインから共有する
  • 感情や行動の“背景”に注目する(例:「無気力」ではなく「不安や迷い」など)
  • 支援の目標は「問題をなくす」ではなく「その子なりの生きやすさを育む」

5.生徒理解に役立つ視点

  • 発達段階(自我の確立、価値観の模索など)
  • 家庭環境(保護者の関わり、期待・圧力の有無)
  • 対人関係(孤立していないか?トラブルは?)
  • 本人の特性(不安が強い、自己否定が強い、完璧主義など)
  • 進路や将来への不安(大学・就職など)


6.最後に

見立ては「生徒を理解する力」です。

表面的な行動に惑わされず、その背景にある“こころの声”に耳を傾けてみましょう。

スクールカウンセラーは、その理解を一緒に深めるパートナーです。

投稿者 marry

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です