親への連絡のポイント
リストカットや自殺念慮がある生徒への対応では、 「生徒の信頼」と「安全の確保」 を両立させることが大切です。親への連絡は、生徒の気持ちを尊重しつつ、適切な支援につなげるために慎重に行いましょう。
どのような場合に親へ連絡するか?
原則として、生徒の安全を守るため 「親の協力が必要な場合」 に連絡します。
具体的には以下のようなケースです。
✅ 連絡が必要な場合
リストカットなどの自傷行為が深刻で、医療的対応が必要 → 傷が深い・感染のリスクがある 場合は、受診のために親へ連絡。
自殺のリスクが高い → 具体的な自殺計画がある、強い絶望感がある場合は、親と協力して安全を確保。
生活環境の改善が必要 → 家庭内でのストレスが原因になっている場合、支援のために話をする。
❌ すぐに連絡しない場合
生徒が強く拒否し、連絡することで悪化する可能性がある → 「親に知られるともっとつらくなる」「怒られるから絶対に嫌だ」と強く拒む場合は慎重に判断。
軽度の自傷で、学校内で対応可能 → 一時的な感情調整としてのリストカットで、命の危険がない場合は、すぐに親へ伝えず、まずは生徒との信頼関係を築くことを優先。
親への伝え方
① 事前に生徒の意向を確認する
親に伝える前に、できるだけ 「どう伝えるか」 を生徒と相談する。
✗ 悪い例:「親に言わなきゃいけないから伝えるね」
◎ 良い例:「〇〇さんのことを心配しているから、おうちの人にも協力してもらえたらと思っているけど、どう思う?」
▶ 生徒が不安を感じている場合は、何をどこまで伝えるか話し合う。
「すべてを話すのは難しくても、『最近少し元気がない』くらいなら伝えてもいいかな?」など、調整することも可能。
② 伝える内容を工夫する
親が驚いたり、動揺したりしないよう、冷静に伝えることが大切。
◎ 伝え方のポイント
事実をシンプルに伝える
→ 「お子さんが最近、ストレスを感じているようです。」
生徒の気持ちを代弁する
→ 「学校でのことや人間関係で悩んでいるようですが、ご家庭ではどうでしょうか?」
親のサポートが必要なことを伝える
→ 「おうちで少し気にかけていただけると安心です。」
✗ NGな伝え方
「お子さんがリストカットをしています。すぐに対応してください。」
→ 親がパニックになる可能性大。
「あなたの育て方が原因かもしれません。」
→ 親を責めると逆効果。
親の反応への対応
親の反応は様々なので、どのような場合でも冷静に対応することが大切。
✅ 親が協力的な場合
「家でも話を聞いてみます」「病院を検討してみます」と前向きな姿勢なら、支援をスムーズに進められる。
▶ 対応策
家庭での見守りのポイントを伝える(無理に聞き出さず、安心できる環境を作るなど)。
必要なら専門機関(精神科・カウンセリング)を紹介。
❌ 親が拒否的な場合
「そんなの気のせいだ」「甘えているだけ」など、否定的な反応をする親もいる。
▶ 対応策
「思春期の子どもにはよくあること」という視点で説明し、親が受け入れやすいようにする。
例:「思春期の子にはよくあることですが、サポートがあると回復しやすいです。」
どうしても親が受け入れない場合は、学校側でできる支援を検討(養護教諭・担任との連携)。
まとめ
✅ 親への連絡は、生徒の安全を第一に考えて慎重に行う。
✅ 生徒の意向を尊重し、どのように伝えるか相談する。
✅ 親がパニックにならないよう、冷静でシンプルな言葉を選ぶ。
✅ 親の反応に応じて、適切な対応を考える。
生徒の信頼を失わないようにしつつ、必要な場合は親にも協力してもらう。このバランスが大切です。