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アンガーマネジメントとは
アンガーマネジメントとは、怒りの感情とうまく付き合うための心理教育や心理トレーニングのことを指します。※「怒らないこと」を目指すわけではありません。
アンガーマネジメントは、1970年代にアメリカで生まれたとされ、当初は犯罪者のための矯正プログラムとして活用されていましたが、近年では一般化され、多くの企業が取り入れるようになりました。
怒りの感情は誰しもが持っています
アンガーマネジメントを身につけることで、怒りの感情がコントロールできるようになり、理不尽に怒ったり失敗したりすることによる後悔がなくなります。
- アンガーマネジメントが注目される理由
アンガーマネジメントの注目が高まっている理由には、社会全体がセクシャルハラスメントやパワーハラスメントなどのハラスメント防止に注力し始めたことが挙げられます。
近年、日本でも価値観やライフスタイルの多様化が進み、自分と異なる価値観の人と接する機会が増えています。そのため、自分の価値観から外れたものを受け入れられない人は、怒りの感情を溜め込みやすくなっています。
怒りのメカニズム
そもそも、怒りとはどのような仕組みで発生するのか、怒りのメカニズムは、「第1感情」と「第2感情」に分類されます。
第1感情とは、不安、恐怖、寂しさ、疲れなどの、ネガティブな側面から発生する感情を指します。
さらに、第1感情が許容範囲を超えた際にに出て来るのが、第2感情である怒りです。
つまり、怒りとは第1感情であるネガティブな感情を土台として発生する感情なのです。
ネガティブな感情を抱くのはごく普通で、決して悪いことではありません。
怒りの感情を抑えようとするのではなく、その前の段階に起こるネガティブな感情である、第1感情に気付くことが大切です。
アンガーマネジメントは、怒りの感情を無くすことではなく、あくまで、怒りをコントロールするマネジメント方法なのです。
問題となる4つ怒りの種類
1、持続性のある怒り
持続性のある怒りとは、何度も思い返したり、過去から引きずってしまう怒りの感情です。
持続性のある怒りでは、既に終わった感情を、自ら呼び起こしてしまいます。
例えば
「前も言ったよね」
「何度言えば分かるんだ」
このような口癖です。
持続性のある怒りは時間の経過とともに膨れ上がり、抑えられなくなった時点で、自分がされたことと同じように、周囲の人に対して怒りの感情をぶつけてしまい、最悪の場合、人間関係を悪化させます。
2,怒りの頻度が高い
怒りの頻度が高いとは、普段の些細なことに、過敏に反応してしまう怒りの感情です。
頻度が高いほど負の感情を抱く時間が長くなり、メンタルヘルスにも良くない影響を及ぼしてしまいます。
・いつもイライラしている
・ちょっとしたことで怒る
また、怒りの感情を抱くことは、それなりに力を消耗するため、頻繁に怒るほど、自ら疲れを生み出してしまいます
3,強度が強い
強度が強い怒りとは、負の感情が強く、表情や言動が激しくなってしまうほどの怒りの感情です。
怒り出すと歯止めが利かなくなるケースが該当します。
「そこまで言わなくても」という所まで口に出してしまい、ひどく後悔した経験のある人もいるかもしれません。
周囲にも不快な思いをさせてしまい、問題に発展しやすい怒りだと言えます。
4,攻撃性のある怒り
攻撃性がある怒りとは、相手やモノに対して、高い攻撃性を持つ怒りの感情です。
モノを投げたり蹴ったりなどの行動を引き起こしてしまいます。
・相手に対して
・自分に対して
・ものに対して
アンガーマネジメントのやり方
アンガーマネジメントは具体的にどのように実践したら良いのか、アンガーマネジメントのやり方について確認してみましょう。
- 「6秒ルール」を実践する
- 「べき」の思考を捨てる
- 「仕方がない」と割り切る
- 怒りを点数化する
- 深呼吸をする
「6秒ルール」を実践する
アンガーマネジメントのやり方として、「『6秒ルール』を実践する」ことがあげられます。
6秒ルールとは、怒りの感情が出そうになった時に、6秒待って心を落ち着ける方法です。
体内のアドレナリンが原因で怒りは発生しますが、アドレナリンが全身を巡るのは6秒程度と言われています。
6秒我慢することで怒りのピークは去り、平常心が取り戻せるでしょう。
あわせて、怒りの原因を紙に書き出すのもおすすめです。
書き出すことで冷静さを取り戻しつつ、自分の怒りの傾向を知り対策が立てられるからです。
「べき」の思考を捨てる
アンガーマネジメントのやり方として、「『べき』の思考を捨てる」ことがあげられます。
他人に対して「〜すべき」と思うのは、自分の思考とのズレに違和感があるからです。
違和感が不満となり、怒りの感情につながるケースも少なくありません。
例えば、与えられた仕事をマイペースに取り組む友達に対して、時間内に終わらせても不満を持つ人がいます。
「与えられた仕事はすぐに終わらせるべきで、今まで自分もそうしてきた」というものです。
価値観は人それぞれで、自分の価値観と合わないからダメだと思うこと自体が間違いです。
アンガーマネジメントでは「〜すべき」の思考を捨て、他者の価値観を認める思考へと変化させるようにします。
「仕方がない」と割り切る
アンガーマネジメントのやり方として、「『仕方がない』と割り切る」ことがあげられます。
仕事では、怒ったところで何も変わらないことが多々あります。
たとえば指示したことができない部下に対して、感情にまかせて怒っても何も変化は起こりません。
急にスキルが上がり、期待通りの仕事ができるようにはならないのです。
完璧主義な人ほど、「仕方がない」と割り切ることができません。
怒りをコントロールするためには、他人は自分と違うことを理解したうえで「仕方がない」と割り切ることが大切です。
怒りを点数化する
アンガーマネジメントのやり方として、「怒りを点数化する」ことがあげられます。
怒りの感情に点数をつけ、過去の怒りの感情と比較することで、冷静さを保てるようになります。
「この怒りは何点だろう」と自問することで、怒りに対して客観的になれるからです。
「この前のできごとは7点だったけど、今回は3点だな」など、怒りの感情を下げることが可能になります。
怒りの感情を点数化する参考例
- 10点:人生で最高の怒り
- 7点:今年一番の怒り
- 5点:よく抱く程度の怒り
- 3点:コントロールできる怒り
- 0点:平常心
深呼吸をする
深呼吸は、言わずと知れた怒りのコントロール方法です。深く息を吸って、いったん止めてゆっくりと吐き出すだけで、怒りを鎮めることができます。何度か繰り返すことで、副交感神経の働きが高まり、リラックスすることができるでしょう。怒りをもったままでいると、交感神経が高ぶり、体が休まらず、疲労がたまってまたイライラしやすくなってしまいます。深呼吸をうまく活用すれば、心からも体からも緊張がとれ、仕事をスムーズに行えるようになります。